堀越写真館

このコーナーは、青梅市民合唱団テナーの堀越弘司(ほりこし ひろし)さんが撮影なさった写真を掲載します。どうぞお楽しみに。

2024年5月7日

タケノコ(筍)

 筍とは、まさに「竹の子」で、これが育ち(伸びて)節(フシ)毎に枝葉が出てくると竹になります。この写真は孟宗竹の筍です。
 竹は、他の樹木にはない育ち方をします。その一つが肥大成長はしない、と言う事です。筍を縦に切ると階段状に節が現れます。仮に、筍の状態で下から6段目の節の太さが8センチとすると、筍が育ち樹高が高くなっても、6段目の節の太さは変わらず8センチなのです。
 二つ目の特徴は、成長点の数です。話を分かりやすくするため、針葉樹と比較してみましょう。針葉樹は幹と枝がハッキリしていて、特に幹の成長点にトラブルが無ければ、成長点は幹のてっぺんに一つだけなのです。
 ところが竹では、成長点は一つ一つの節の頭部にあります。ですから、節が30個あれば成長点も30個あるのです。
 仮に、一つの節で1日で1センチ成長すれば、節が30個ある竹では1日に30センチ伸びる計算になります。筍の成長の早さは、「節間(セッカン)成長」と言われるこの成長の仕組みにあるのです。この現象は笹でも同じです。
 ところで、皆さんは竹と笹の違いをご存知ですか?太さは.識別には関係ありません。成長後にも稈鞘(カンショウ:筍時の皮)が残っているのが笹で、落ちてしまうのが竹なのです。
 筍が伸びてくると、竹林は「竹の秋」を迎えます。
(写真と文/堀越弘司)

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2024年4月23日

ヤマブキ

 ヤマブキと聞くと、私は、すぐに太田道灌と村娘とのやり取りを思い浮かべます。
 江戸城の主だった太田道灌は、猟に出た先で雨に遭い、簑(ミノ)を借りようと近くの農家を尋ねます。応対した娘にその旨を伝えると、娘は黙って八重咲きヤマブキの枝を差し出したのです。
 この対応に怒った道灌は、城に戻り、古老に村娘の無礼を伝えたところ、古老は、「平安時代の古歌に『七重八重、花は咲けどもヤマブキの実の一つだに無きぞ悲しき』との短歌があります。村娘は、『実の』と『簑』をかけたものでしょう…」と道灌を諭したそうです。これを聞いた道灌は、自らの不明を恥じ、以後、歌道に精進した、との逸話が残っています。
 ただ、この逸話のヤマブキは上の写真とは違い八重咲き(下の写真参照)です。
 八重咲きの花にはヤマブキでなくとも実は生りません。雄しべが花びらに変化したものが八重咲きなのですから、生殖機能が失われているのです。
 自然界で八重ヤマブキと出会った事のない私は、この原稿を書くに際し、八重咲きのヤマブキについて調べました。その結果、「八重ヤマブキはヤマブキの園芸種」との記述が見つかりました。ナント、平安時代の昔から園芸種が作られていたのですね。
(写真と文/堀越弘司)

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2024年4月14日

アセビ

 この木は、尾根などの乾燥地を好む常緑のツツジ科の潅木で、葉にも茎にも有毒な成分を持っています。馬や牛などの大型動物では、枝葉を食べると、その毒に当たり酔ったようにフラつく事から馬酔木と書くようになったものでしょう。
 放牧中の家畜(牛、馬、羊、ヤギなど)は本能的に毒性を嗅ぎ分けているようで、アセビの枝葉は食べません。しかし、餌として与えられた植物(主に草)などにアセビの芽生えが混入していると、食べてしまい、羊やヤギでは死ぬ事もあるようです。
 尾根などの乾燥地を好む、と書きましたが、昨今、奥多摩ではニホンシカが増え過ぎてしまい、アセビだけを残し、他の樹木が食べられてしまっています。結果として、森林土壌の水源涵養機能が下がり、尾根だけでなく山腹まで乾燥地が広がってきています。それを反映してアセビも尾根を下り始めています。
 短歌が好きな人では、アセビではなくアシビと読む方が馴染み深いでしょうか。伊藤左千夫らによって1903年に創刊された短歌雑誌に馬酔木(あしび)として使われていますから。
(写真と文/堀越弘司)

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2024年3月31日

サンシュユ

 ある年の晩秋、梅の公園を登ろうとした私は、グミ(グミ科グミ属の樹木の実)のような真っ赤な実を付けた木に気付きました。僅かに残っていた葉の様子からミズキの仲間と確信し、帰宅後に手持ちの図鑑で調べ、それがサンシュユであると知りました。
 その時、思い出したのです。そう言えば、春先にあそこに黄色い花を咲かせていたサンシュユがあったな、と。サンシュユの花の様子から、まさかミズキの仲間とは思わなかったのです。
 ところで、宮崎県の民謡「ひえつき節」の一節にある「さんしゅう」とは、このサンシュユの事か、サンショウ(山椒)の事か、気になり調べたら、漢字で山椒と記してあったので、サンショウと分かりました。(写真と文/堀越弘司)

2024年3月8日

フキノトウ

 フキノトウ(蕗の薹)は、蕗(フキ)が花を咲かせるために芽生えさせたもので、フキノトウと言う名前の植物はありません。フキとフキノトウとの関係は、スギナと土筆(ツクシ)との関係に似ています。
 蕗もスギナも栄養を作るための器官で、フキノトウと土筆は、種子(胞子)を作るための器官なのです。
 ところで、私は、このフキノトウには苦い思い出があります。それも、かなり凄い苦さの思い出です。
 ここで、少し私の青春時代の思い出を語らせせてください。
 学生時代のある年の春休み、林学科の同級生と2人で伊豆の天城山に「樹木学実習」と称したキャンプに出かけました。その際、猫越峠近くに設営したテント周りにフキノトウの群落があったのです。
 ワンゲル部に入っていた同級生は、それを採り夕食の惣菜として炒めたのです。それがかなり美味しかったので、翌日の朝食の味噌汁の具材として、また採って入れました。
 あいにく、「あく抜き」などの一手前が必要とは知らなかったため、一口飲んで、その苦さの凄まじさに、全て捨ててしまったのです。
 青春時代の思い出の多くには、ちょっとした甘さとほろ苦さがつきまとうものですが、この時の苦さは凄まじいものだったのです。(写真と文/堀越弘司)

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2024年2月23日

マンサク

 マンサクの花は、早春の雑木林で見られますが、この花に気付く人は余り多くはありません。低木とは言え、目線より上の場合が多いし、淡い黄色の紐状の花びらなので、見慣れた人でないと見過ごしてしまいます。
 写真の花の色は淡い黄色と言うよりは樺色ですし、花の密度も高いので、青梅近辺の山で見られる野生種とは違うのかも知れません。
 ところで、マンサクと言う名前の由来は、「春早くに先ず咲く」の『先ず咲く』が転化してマンサクとなった、との説が一般的です。しかし、かつて私が購読していた林業専門誌には、次のような記述がありました。
 捩れた紐状の花びらが実の入っていないマメ科の鞘(粃:シイナ)を思い起こす。しかし「シイナ」と呼ぶのでは縁起が悪いので、反対語の満作と言い変えた、と言うものです。芦(アシ)をヨシと言い変えたのと同じですね。
(写真と文/堀越弘司)

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2024年2月8日

「雪ニモ負ケズ」

 久しぶりに雪が積もりましたね。梅郷辺りでは10センチほど積もったようです。
 雪が溶け始めたので、去年、青梅草(フクジュソウの原種)の写真を撮った場所に行ってみました。
 雪が溶けてきて表面が下がって青梅草の頭が見えてきたら、陽を受けた草の周りから溶けてきて、上の写真のようになります。周りの雪が青梅草の健気さを際立たせています。
(写真と文/堀越弘司)

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2024年1月26日

コウヤボウキ

 冬の山歩きで、比較的明るい林内や林縁で写真のような種を付けている姿を見かけますが、これがコウヤボウキです。
 近縁種にナガバノコウヤボウキがありますが、両種の決定的な違いは花の付き方です。
コウヤボウキが当年枝の先端に付けるのに対して、ナガバノコウヤボウキは2年枝に出る輪生状の枝(短枝)の中央に付けます。
 名前の由来は「高野山で使われる箒」か一般的です。外で使う箒では竹箒が一般的ですが、腰の強い竹箒では、参道を掃く際に玉砂利も動いてしまいます。それに比べ、細くて腰の弱いコウヤボウキを素材とする箒では、玉砂利を動かさず上のゴミだけを掃く事が可能だから、と言われています。
 写真の種はピンクに色付いていますが、多くは、白色に近いベージュ色です。
(写真と文/堀越弘司)

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2024年1月16日

シモバシラ

皆さんは、「しもばしら」と聞くと何を思い浮かべますか?
 多くの人は、寒さで地中の水分が凍って出来る氷の柱を、靴底に感じたザクッとした感触と一緒に思い浮かべるのでしようね。
 しかし、今回紹介するのは、その霜柱ではなく、初冬に氷の花を咲かせるシソ科の植物「シモバシラ」です。
 氷の花と書きましたが、正確には「氷が作る不思議な造形」です。その姿が、下の写真のようにとても素敵なものなので「氷花」と呼ばれています。
 今、シモバシラを「シソ科」と書きましたが、ここで言うシソとは紫蘇、すなわち、梅干しの色付けに使う赤紫蘇や色んなレシピが紹介されている大葉の仲間などを含む植物達を指します。
 この氷花、青梅から多摩川流域では、シモバシラの近縁種であるカメバヒキオコシが作っています。また、私は確認出来ていませんが、カシワバハグマなど、シソ科以外の植物でも現れると言われています。
 ただ、私は、茎が丸でなく四角いシソ科の方が、この現象が起きやすいと思っています(この発生のメカニズムについては、紙面の都合上、次回以降に書いてみたい。)。
 この写真は、御岳山で撮ったものです。
(写真と文/堀越弘司)

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2024年1月3日

ヒイラギ

皆さんは、木偏(へん)に春と書く漢字が何かはご存知ですよね。そうです。椿(つばき)です。
同じように、木偏に夏と書くと、榎(えのき)ですが、では、木偏に秋と書くと何でしょうか。「そんな漢字は見た事がない…」とおっしゃる人が殆どでしょうね。私も、この原稿を書くに際して調べました。キササゲ(スマホではその漢字は出てきませんでした)です。
最後は、今回のテーマの木、木偏に冬と書く柊(ヒイラギ)です。冬に花を咲かせる木だから、このような漢字になったのでしょうね。
このヒイラギ、固めの常緑の葉に鋭い刺を持った木です。とは言え、このヒイラギの葉、人と同じで、年を経ると刺が無くなり丸くなります。え?「年を経ても丸くならない人もいますよ」ですって?まぁ、人それぞれですからね。
(写真と文/堀越弘司)

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2023年12月11日

今回は、植物個々の話題ではなく、秋の紅葉・黄葉、そして紅葉と黄葉のコラボの写真をお届けします。
拙い写真ではありますが、素材の素晴らしさに助けられ、それなりの写真が撮れていました。
先ずは、赤系統の紅葉から。

1枚目は、飯能市の美杉台団地のモミジバフウの並木です。

次は、黄色系統の紅葉です。

1枚目は、秩父ミューズパークの若いイチョウ並木です。

次は、紅葉と黄葉のコラボです。

(写真と文/堀越弘司)

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2023年12月6日

 今回は、前回と「もみじ」繋がりで、上の写真の木についての話題とします。
 この木は、モミジバフウと呼ばれるアメリカ原産の落葉広葉樹です。
 漢字では「紅葉葉楓」と書きます。名前の中にもみじ(紅葉)とかえで(楓)を意味する漢字が入っていますが、ナント、カエデ科ではないのです。
 カエデ科の葉の付き方(葉序)は対生ですが、モミジバフウは互生です。確かに、葉の形や秋の紅葉はカエデ科を思わせますが、れっきとした「フウ科」の木なのです。
 と知ったか振りで言う私も、「フウ科」なる科がある事は、今回知りましたが…
 写真は、梅の公園の日本庭園の木ですが、飯能市の美杉台団地の西側の街道には、この木が街路樹として植えられていて、秋には見応えのある紅葉を見せてくれます。
飯能市と言っても、成木と接している丘ですから、是非、来年の秋にでも訪ねてみてください。
(写真と文/堀越弘司)

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2023年11月23日

イロハモミジ

今回は、「もみじ」について解説します。
 もみじの言葉からは、上の写真のようなカエデの仲間、紅葉とかを連想されますよね。
この「もみじ」とは、木の葉が赤や黄色に変わる事を表す動詞「もみず(る)」を語源としています。もっと古くでは「もみつ」と言う動詞の連用形として、「もみぢ」と言われていました。
 上述のように、「もみずる」の元々の意味は「木の葉が赤や黄色に変わる事」なのですが、いつの頃からか、木に限らず草が赤や黄色に変わる事も含むようになりました。その一例が「草もみじ」です。ただし、お酒で顔が赤くなる事は「もみずる」とは言いません。
 お酒の弱い人に「もう、もみずっている!」なんて言わないように!
 因みに、秋の事を「もみずる時」と言う事があります。洒落た言い回しですよね。いつか、使ってみようかしら。

(写真と文/堀越弘司)

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2023年11月14日

トチノキ

今回は、トチノキを取り上げます。
写真は、河辺下の市民球技場の川沿いに植えてあるトチノキの紅葉(黄葉)です。
自然界では、少し湿り気のある沢沿いに生えるので周辺の樹木の枝葉に邪魔され、この写真の木のように陽光をたっぷり浴びるシーンは少ないのです。
このため、紅葉も、この写真のように全体が綺麗に色付く事はありません。
話は変わりますが、皆さんは「モチモチの木」って知っていますか?
滝平二郎の切り絵と斎藤隆介の文による絵本のタイトルです。
この絵本の中に出てくるモチモチの木こそが、トチノキなのです。この実から栃餅を作る事から付けられた名前でしょうか。
機会があれば、この絵本を読んでみてください。
合わせて、同じ作者の「花咲き山」もお薦めします。
(写真と文/堀越弘司)

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2023年11月4日

センブリ

今回はセンブリを取り上げました。
センブリはリンドウの仲間で、漢字で書くと「千振り」です。
蕾が出来る頃に根ごと引き抜き、日陰干しにした物を湯飲み茶碗に入れ、熱湯をかけます。
そうして、数回振るとセンブリの成分が湯の中に出てきます。この液がものすごく苦いのです。これを健胃薬とする民間療法があるのです。
名前の由来は、千回振り出しても苦い事から来ています。実際には千回出来るかは不明ですが。
リンドウの仲間と書きましたが、花屋さんで見かけるリンドウとは違い、花はしっかり開きます。
この時期、梅の公園の第2四阿(アズマヤ)から第3四阿に向かう尾根で見られます。(撮影・文/堀越弘司)

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2023年10月24日

カツラ

今回はカツラ(桂)を取り上げました。
 どんな植物でもそうですが、その紅葉は一様ではありません。
土壌が浅い岩場か深い山腹かの立地によっても変わりますし、日向か日陰かでも変わります。さらに、若木か成熟した木でも違ってきます。カツラの場合、若木では綺麗なレモンイエローを呈します。
 このカツラ、奥多摩では「醤油の木」と呼びます。葉が散り始める初秋から初冬にかけて、この木の近くを通ると醤油を焦がしたような香ばしい匂いを感じます。
 醤油と言っても生醤油ではなく、砂糖醤油です。カルメ焼きの香りです。
 湿潤な沢沿いが好きな植物ですので、沢筋の道を歩くと、よくこの香りを感じる事があります。
(撮影と文/堀越弘司)

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2023年10月14日

ハナミズキ

今回は植物の生き延びるための戦略についての話題としました。
北から、そして高山から紅葉の便りが届く季節となりました。とは言え、青梅近辺の山では、紅葉はもう少し先になりそうです。
写真は、街路樹として植えられているハナミズキの紅葉です。朱色の実が見えていますね。
ハナミズキの実を、そのまま蒔いても芽生えません。綺麗に果肉を取り除かないとダメなのです。
果肉が無い状態を作るのは、鳥に食べられたと実に錯覚させるためなのです。
「鳥に食べられた」とは、種子が親木から遠くに運ばれた、即ち、生育範囲を広げられた、と言う事なのです。
サクラの仲間の方法は、もっと過激です。
実(さくらんぼ)が親木の下に落ちても、親木の枝や根から種子の発芽能力を奪う物質(他感物質)を出すのです。
この戦略も、己の生育範囲を広げるためのものです。
(撮影と文/堀越弘司)

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2023年10月4日

パンパスグラス

今回は、ススキを取り上げました。と言っても、日本のススキではなく、南米のパンパスと呼ばれる草原地帯に生育するパンパスグラスです。
姿はススキの親分のように、ススキよりも穂にボリュームがあります。
この写真は、日の出町で撮りましたたが、これより立派な株が大きな公園(例えば、昭和記念公園)などで見られます。
この記事を書くにあたり調べた時に、「西洋の魔女が空を飛ぶ時に跨がるのは、箒ではなく、パンパスグラスだ…」との記述を見つけました。
竹箒とは違い、これならお尻がチクチクしないかも。
(撮影と文/堀越弘司)

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2023年9月20日

ヒガンバナ

もうすぐお彼岸ですね。と言う事で、今回はヒガンバナを紹介します。
この植物、以前紹介したキツネノカミソリの仲間ですが、花の形や色合いだけでなく、大きな違いがあります。
キツネノカミソリは、春先に葉を繁らせ、それが枯れてから花茎を伸ばし花を付けます。
ところがヒガンバナは、その逆で、花の後に葉を繁らせるのです。
上の写真にも写っていますが、真っ赤な花の群落の中に、稀に黄色みを帯びた白や、隣の花の色に染まったかのような赤みを帯びた花を付ける株が混じります。
(写真と文/堀越弘司 撮影地・梅の公園)

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2023年9月10日

スイフヨウ

今回はスイフヨウを紹介します。
さて、この植物、漢字ではどのように書くのでしょうか。
水辺を好むから「水芙蓉」?それとも、咲いている姿が粋だから「粋芙蓉」でしょうか。
思わせ振りはこれまでとして、正解を書きましょう。「酔芙蓉」なのです。
スイフヨウに限らず、フヨウの仲間は一日花で、朝に開き、夕方には萎んでしまいます。
スイフヨウの場合、咲き初めは純白ですが、お昼頃には淡いピンク色に変わり、夕方にはハッキリとしたピンク色となり萎む頃には赤色になります(この写真は11時頃に撮影したので、既にピンク色に変わり始めています。)。
この変化を、お酒により顔の色が変わっていく色白の美人になぞらえたものでしょうか。
採用した写真は一重咲きですが、スイフヨウの場合、八重咲きの方が一般的なようです。

(写真と文/堀越弘司 撮影場所・巾着田)

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2023年9月2日

サルスベリ

今回はサルスベリを紹介します。
別名をヒャクジッコウと呼びます。サルスベリはともかくヒャクジッコウでは「え?この名前って?」と首を傾げますよね。
漢字で書くと「百日紅」で花期が百日も続く花、と言う意味です。
花の色は紅の他、白、ピンクなどがあります。
花の構造は花びらの先端がフリルのように見える花を6本出し、その中央に黄色く目立つ雄しべと雌しべを付けます。これで一組の花なのです。
このように、花も独特ですが、葉の付き方も独特です。互生(左右交互に葉を付ける)なのですが、この植物は、2枚ずつ交互に葉を付ける「コクサギ型葉序」と呼ばれる珍しい葉序なのです。
別名の通り、まだしばらくは楽しめる花ですから、近くに寄って観察してはいかがでしょうか。(写真と文/堀越弘司)

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2023年8月20日

タカサゴユリ

 タカサゴユリ(高砂百合)を紹介します。
この高砂とは、謡曲の「高砂」ではなく、16世紀から19世紀にかけて日本で用いられた台湾の別名です。
ですから、タカサゴユリとは台湾のユリを意味する名称です。
このユリの花を見て、以前に良く花壇で見られたテッポウユリを思い出す人も多いでしょう。
テッポウユリとタカサゴユリの見分け方は意外と簡単です。
まず花期が違います。6月頃に花を咲かせるテッポウユリに対して、タカサゴユリは8月に咲かせます。
そして、タカサゴユリの多くは、花弁の外側に赤い筋がはいります。
また、テッポウユリの葉に比べ、タカサゴユリの葉は細く密に着きます。
更に、タカサゴユリの繁殖力は凄まじいです。ほとんど土が無いような舗装の隙間にも芽生え、花を咲かせます。
(写真と文/堀越弘司)

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2023年8月1日

キツネノカミソリ

 今回、取り上げた植物は、キツネノカミソリです。この名前だけでは、どんな姿で花を咲かせるのか、見当がつきませんよね。
図鑑によれば、「カミソリとは、春先に出て繁る葉が剃刀を思わせるから。」と説明されています。
しかし、葉の縁には触れると指を切るような鋭さも固さもありません。
また、冠として付いている「キツネ」には、何の説明もありません。
この植物の近縁種には、ヒガンバナ(彼岸花)やナツズイセン(夏水仙)があり、どちらも、名前の由来は推測しやすいですよね。これらの植物達は、花が咲く時には葉は枯れている、と言う特徴があります。
あっ、そうだ。もしかしたら、「キツネ」の冠が付けられたのは、花の色がキツネを想わせるからかしら。う~ん、でも赤が強すぎるかな?
(写真と文/堀越弘司)

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2023年8月1日

イワタバコ

 今回はイワタバコを紹介します。漢字で書くと「岩煙草」となり、その名の由来は、その葉を煙草の原料とする熱帯地方原産の植物のタバコに似ているからです。
私は本物のタバコの葉を見た事はありませんが、姿が似ているのだそうです。
冠として付いている「岩」は、この植物が岩壁に生育するから。
沢の中や周辺の、常に沢の水がかかるような岩が好きな植物です。
この生育環境を知っている人にとっては、イワタバコと聞くと、頬を撫でて吹く渓流の風を思い起こします。
(写真と文/堀越弘司)

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2023年7月21日

クルマユリ

この花を見て花壇に咲いているオニユリを思い出す人も多いでしょう。オニユリは、中国原産ですが、古くから庭に植えられているユリ科の植物です。
オニユリを小型化したような仲間にコオニユリがあります。
オニユリには、葉の付け根にむかご(珠芽)を着けますが、コオニユリと今回紹介するクルマユリにはむかごはつきません。
クルマユリの名前は、茎の中ほどにつく葉が輪生(車状)につく事に由来しています。
花の大きさは、オニユリが10cm前後、コオニユリが6~7cm、クルマユリが5~6cmほどです。
コオニユリも、クルマユリも、多摩川源流部で稀に見られます。

※むかご(珠芽)とは、通常生殖で生産される種子に代わり、無性生殖で子孫を増やす事の出来るものです。
(写真と文/堀越弘司)

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2023年7月9日

ハキダメギク

『気の毒な名前を付けられた植物』
この植物はハキダメギクです。ハキダメとは掃き溜めの事でゴミが集められた場所を指します。
この名前を妻に教えたら「酷い名を付けられて気の毒!」と憤慨していました。
ところが、植物の中には、もっと酷い名を付けられた植物もあります。ヘクソカズラやママコノシリヌグイなどです。
ヘクソカズラは、葉や茎を傷つけると臭い匂いを放つ事から名付けられました。
また、ママコノシリヌグイは、葉や茎に鋭い刺を持っているから付けられた名です。ママコとは継子の事で、憎らしい継子のお尻をこの植物で拭くから、との説明書きがあります。
尻拭いに紙の代わりに植物の葉を使っていた昔とは言え、まさか、この植物を使うとは!
名誉挽回のために…
これらの植物、それぞれに可愛らしい花を咲かせます。

ハキダメギクにまつわるエピソード
この植物の命名者は、今、NHKの朝ドラで描かれている牧野富太郎なのです。
彼が、世田谷の掃き溜めで発見し、こう命名したのです。
ですが、この植物は日本原産ではなく、熱帯アメリカ原産で、日本には古くに渡ってきていた帰化植物なのです。
牧野博士が「命名した」との表記は、それまで学名も付けられていなかった事になります。
う~ん、どう言う事なのでしょうか、疑問が残ります。
(写真と文/堀越弘司)

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2023年6月23日

 『ネムノキ』

この写真は、河辺下の河川敷にある野球場の川側に植えてあるネムノキです。
 下の写真が花のアップですが、優しいピンク色した不思議な形が素敵でしょう?
 皆さんは、日立グループのCMソング「この木何の木、気になる木」をご存知でしょう?
 実は、あの木はモンキーポッドと呼ばれるネムノキの仲間(アメリカネムノキ)なのです。
 このネムノキ、触れると葉を閉じるオジギソウ(ネムリグサ)とよく混同されます。
 ネムノキも葉を閉じますが、それは夜だけの現象です。
 花の形と言い、夜に葉を閉じて眠る姿と言い、何とも不思議な木です。(写真と文/堀越弘司)

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2023年6月18日

 『梅雨を彩る花・アジサイ』

最初の写真は、ガクアジサイです。今、あちこちのお庭で見られるアジサイの多くは、中国を経由してヨーロッパに渡ったこのガクアジサイを品種改良して、両性花(雄しべと雌しべを持った花)を無くして、装飾花だけに変えたものです。
ヨーロッパで改良されたので、装飾花だけのアジサイを「西洋アジサイ」と呼ぶ事もあります。
装飾花だけのアジサイには、他に「てまり型」と呼ばれるアジサイもあります。

2枚目の写真は、この辺りの山に自生しているヤマアジサイの改良品種の数々です(写真提供・アルト野崎洋子さん)。
……写真と文/堀越弘司

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2023年6月7日

ムシトリナデシコ

この花は、ムシトリナデシコです。
名前から分かるようにナデシコ(撫子)の仲間ですが、食虫植物ではありません。
同じく「ムシトリ」の冠が付く植物にムシトリスミレと呼ばれる高山植物がありますが、こちらは、間違いなく食虫植物です。粘液がべったりと分泌された葉に虫がとまると身動き出来なくなり、やがては消化酵素を含む分泌物により消化され栄養分として葉に吸収されるのです。
ところが、このムシトリナデシコの方は、茎の上部に2~3箇所の粘液が分泌された場所を作りますが、それは、受粉に貢献せず、単に花の蜜だけを吸いにくる蟻さんを拒否するためのものです。
2枚目の写真の黒光りしている部分が粘りつく部位です。

(写真と文/堀越弘司)

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2023年5月23日

ハナイカダ

緑色の葉に緑色の実と色彩に乏しい植物ですが、ハナイカダと呼ばれるかん木です。
通常、花筏と言えば、水面に落ちた桜の花びらが
連なって流れる様子を言います。
植物のハナイカダは、葉を筏に見立てて、その中央に花を咲かせるのです。
この植物は雌雄異株で雄木の葉の中央にも花を付けますが、雄花は僅かな痕跡を残して落ちてしまいます。
実は、熟すと黒くなり、食べると甘さを感じます。
(写真と文/堀越弘司)

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2023年5月4日

シャガ

シャガはアヤメ科アヤメ属の常緑草本です。
多くの図鑑に「古来、中国から渡ってきた植物」との記述があります。
私も、観察会等では、そう説明してきました。
しかし、今回、学名(シャガは標準和名で学名とは世界統一呼称です。)を調べたところ、iris(イリス) japonica(ヤポニカ)となっていました。
japonicaとは「日本産の」と言う意味です。
と言う事は、日本で初めて発見されたと言う事になります。
「古来より中国から…」との「古来」とはかなり昔と言う事になります。さて、いつの時代に渡ってきたのでしょうか。

こちらは、中国青花シャガと呼ばれる園芸種です。

中国青花シャガ

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2023年4月23日

カラスノエンドウ

この写真を見て「あっ、えんどう豆の仲間?」と気付く人は家庭菜園を楽しんでおられるのでしょうね。
そうなんです。マメ科の野草でカラスノエンドウと呼ばれる草です。

スズメノエンドウ

こちらは、カラスノエンドウよりも小型なので、スズメノエンドウと名付けられた野草です。
実は、上記2種の中間型の野草もあるのです。さて、この中間型の野草、皆さんなら何と名付けますか?
ハトノエンドウ?それともヒヨドリノエンドウ?
ところがところが、そうじゃあないのです。ナント、「カスマグサ」と名付けられたのです。
カラスとスズメの中間だから「カラスのカ」と「スズメのス」の間(マ)と言う意味で「カスマ」と付けたのだそうです。変ですよね。
(撮影・文/堀越弘司)

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2023年4月21日

キンラン

これは、キンランと言うランの仲間です。東青梅駅近くの「大塚山公園」で撮りました。
草丈は、大きいもので50cmほどで、日当たりの悪い場所では、もう少し小さくなります。
近縁種に白い花のギンランがあり、さらに、ササバギンランもあります。
黄色を金にたとえ、白色を銀にたとえたようです。
ギンランは、キンランよりさらに小さく、林の下などの日陰では20cmの大きさしかない事もあります。
花のアップはこんな感じです。(撮影・文/堀越弘司)

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2023年4月3日

イチリンソウ

ニリンソウ

これらの花は、以前に紹介したアズマイチゲと同じ仲間です。
イチリンソウ、ニリンソウって紹介すると、「サンリソウは?」と聞きたくなりますよね。
それが、サンリソウもあるのです。イチリンソウもニリンソウも草丈は10センチ以上ありますが、サンリソウは5センチに満たない株もあるほど小さい草です。
このサンリソウ、多摩川筋では、源流域でしか見たことがありません。
因みに、ヨンリンソウって植物はありません。
(撮影・文/堀越弘司)

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2023年3月26日

カタクリ

料理などで使う片栗粉は、現在ではジャガイモから採った澱粉ですが、元々は、この植物の地下茎(≒球根)から採った澱粉です。
この植物は、万葉集では「カタカゴ(堅香子)」の名前で和歌に詠まれていました。
青梅近辺では、北向斜面の麓のやや湿潤な土地で自生しています。
この写真は、即清寺裏の吉野山園地の北向斜面で撮ったものです。              

(撮影・文/堀越弘司)

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2023年3月21日

ハナネコノメ

ハナネコノメは、ネコノメソウの仲間で、ネコノメソウとほ、葉の色が明るい黄緑色で、ほの暗い林床で猫の目のように光って見える事から付けられた名前です。
ハナネコノメは、葉より花の綺麗さが目立つ事から付けられた名前です。
花の中に赤い点が見えていますが、これは葯と言い、雄しべの先の花粉の袋です。(撮影・文/堀越 弘司)

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2023年3月17日

オオイヌフグリ

イヌフグリと言う在来種に似ていて大型であることから名付けられた帰化植物で、直径が5~6ミリの小さな花です。
イヌツゲやイヌザクラのように、植物名に「イヌ」と付く植物は、本来の種に比べ劣るとの意味で使われます。
しかし、本種は、その実の形が犬の陰嚢に似ているからだそうで、何とも気の毒な名前を付けられたものです。

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2023年2月17日

カワヅザクラ

カワヅザクラは、伊豆半島南部の河津町の山林で、1955年に見つけられた事から「カワヅ(河津)」の名が冠されました。
この桜は、早咲きのオオシマザクラとカンヒザクラの自然交配で生まれたものと言われています。
ソメイヨシノに比べ花期が長く、咲き始めてから満開まで1ヵ月かかります。
(撮影と文:2023年2月21日/堀越 弘司)

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2023年2月17日

アズマイチゲ

これはアズマイチゲです。
イチゲ(一華)とは「一輪の花」を意味しますので、アズマイチゲとは、「東(関東地方)で見られる一輪草」となります。
でも、ややこしいのですが、ずばり、イチリンソウと呼ばれる植物もあるのです。
この植物については、後日、写真と共にご紹介します。
(青梅市「梅の公園」にて。撮影・文/堀越 弘司)

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2023年2月7日

セツブンソウ

一輪だけでしたが、梅の公園のセツブンソウが咲いていました。節分(2月3日)から4日遅れでした。
(記:堀越弘司/2023年2月7日)

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2023年2月4日

この写真は、アルトの野崎洋子さんが撮影なさいました。(2022月2月。東京都瑞穂町「耕心館」にて。)

セツブンソウ

セツブンソウは、まさに節分頃に咲く花です。しかし、青梅辺りでは2月中旬から下旬まで咲きません。 青梅市吉野梅郷にある「梅の公園」のセツブンソウの見頃は、今月中旬ぐらいとなります。(記:堀越弘司/2023年2月4日)

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2023年1月22日

オウメソウ

江戸時代、江戸の町で「青梅草」と言う福寿草の野生種がもてはやされたとか。この写真がその青梅草と思われます。
2023年1月22日(記・撮影/堀越弘司さん)